犬パルボウイルスの症状・感染経路・予防対策
犬パルボウイルスとは何ですか?
犬パルボウイルスは非常に感染性が高く、また、外部環境に対する耐性もきわめて高いウイルスです。重度の胃腸炎、また、しばしば出血性合併症を引き起こします。
メスが妊娠中にパルボウイルスに感染すると、胎児の発達に影響を及ぼします。ウイルスには単独で増殖する能力はないため、増殖するには他の細胞を使用する必要があります。そして幼い子犬に感染すると、犬パルボウイルスは細胞分裂が盛んな腸管の細胞で増殖します。
犬パルボウイルス感染症は命にかかわる危険性があり、イギリスでは現在も子犬への感染が見られる感染症です。
犬パルボウイルスにかかるとどのような症状が出ますか?
犬パルボウイルスに感染した子犬や犬は、さまざまな症状を示します。注目すべき症状は次の通りです。
- 発熱
- 無気力
- 下痢(血便の可能性もあり)
- 嘔吐
- 脱水
- 深刻な体重減少
犬パルボウイルスの感染経路、どのように引き起こされますか?
犬パルボウイルスに感染した犬は、糞便中に大量のウイルスを排出します。具体的には、糞便1gあたり最大100万の子孫ウイルスが含まれており、これは実験状況下では100万頭の犬に感染するのに十分な数です。
また、感染した犬の糞便に接触した人、動物や物が感染経路となりえます。
特定の環境下では、パルボウイルスは数か月~1年以上感染性を維持することができるため、ペットホテルや子犬のブリーダーなどの外部環境からこの病気を排除することは極めて困難です。
子犬に犬パルボウイルスのワクチン接種を受けさせることはできますか?
犬パルボウイルス感染症はワクチン接種によって予防することができるため、あなたの子犬が適切な年齢で必要なワクチンを接種することが非常に重要です(子犬に必要なワクチンの詳細はこちら)。
予防接種さえすれば犬パルボウイルスへの感染リスクから守れますか?
ウイルスは変異します。大きく変化するものもあれば、中程度に変化するものもあり、また、ほとんど変化しないものもあります。
犬パルボウイルスは安定しています。つまり、ワクチンは同じままであり、改変する必要がないことを意味しています。
犬パルボウイルス ワクチンは、1970年代に初めてこのウイルスが現れて以来進化してきましたが、その進化はウイルスの表面上の変化(抗体などの免疫系が作用する場所)を反映したもので、ワクチンによって得られる効果には影響を与えません。つまり、いったんあなたのペットにワクチンを投与すれば、ウイルスがどのように変異しても保護されるということです。
他に、犬パルボウイルスへの感染を予防する方法はありますか?
犬パルボウイルスは、外部環境に対して極めて高い耐性をもっています。繁殖施設は高リスクな環境であるため、施設にいる間に最初のワクチンを投与する必要があります。そうすることで、同腹の犬の間で犬パルボウイルスの蔓延を防止するのに役立ちます。
多くの犬が別々の環境から同じ環境に集まるペットホテルにおいても、同様のことが言えます。パルボウイルスの集団感染を防ぐためにも、ペットホテルでは以下のような厳密な衛生対策を講じています。
- 建物が次を含む正しい方法で設計されていることを確認する
- 一方向フローの原則を導入する:高リスクの犬を収容するスペースから低リスクの犬を収容するスペースへの移動は一方向とする
- ペットホテルで使用する素材は、抗ウイルス性や不浸透性(滑り止めの素材)があり、スムーズで、遮蔽性があり、簡単に分解して洗浄できる
- 区画整理:妊娠中の犬、隔離、保護のための特別なスペースを設ける
さらに、適切な洗浄と消毒のための予防措置も講じる必要があります。
犬パルボウイルスに感染したと思われる場合、どうすれば良いですか?
あなたの子犬に犬パルボウイルス感染症の症状がひとつでも見られる場合は、直ちに獣医師に相談してください。獣医師は、身体検査や生化学的検査や尿検査をいくつか実施してあなたの子犬が感染しているかどうかを判断し、最善の対処法を提案します。ブリーダーから子犬を購入する場合は、子犬を自宅に連れて帰る前に、何らかの予防措置が取られているか尋ねてください。犬パルボウイルスについて不明な点がある場合は獣医師に相談しましょう。病状、予防、治療についてアドバイスをしてくれます。
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