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食欲不振になりがちな高齢猫。食事の栄養管理はどうすべき?

高齢の猫の栄養必要量は子猫とは大きく異なります。高齢の猫の健康をサポートするために食事に含まれるべきものは何なのか、具体的に学びましょう。
Ageing cat standing indoors eating from a red bowl.

加齢によって猫の体は変化します。それに伴い、食事の内容やフードを与える方法も変える必要があります。猫は12歳ごろから「シニア」とみなされ、それまでとは異なる栄養素が必要になります。

年を重ねるにつれて猫の体内ではどのような変化が起こりますか?

年を重ねて12歳ごろになると、外から見ても体や行動の変化に気づくでしょう。

睡眠時間が長くなるほか、社交性が低下したり鳴くことが増えたりと、以前とは異なる行動を取ることがあります。皮膚と被毛が絹のような光沢を失い、白髪が増えたのに気づく場合もあります。関節が老化すると、しっかりとした歩行やジャンプ、身づくろいが困難になります。

体内では、猫の身体機能が衰えていきます。消化器系ならびに免疫システムが弱まります。歯の磨耗や歯周病といった歯の問題により、食事時に痛みを伴うために食欲が減退し、ひいては体重減少につながる可能性があります。
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嗅覚や味覚、聴覚も鋭さを失い、ストレスに対する抵抗性が弱まります。
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シニア猫にとって一般的な症状である腎臓病や糖尿病、変形性関節症、甲状腺機能亢進症などにも悩まされることがあります。ただし、これらは適切な食事と薬によって軽減できます。

加齢は猫の栄養のニーズにどのような影響を与えますか?

猫の身体的な能力が変化するため、それまでとは異なる栄養が必要になります。 

フードの栄養素、とくに脂肪分とタンパク質の消化と吸収を行う際、消化器系への負担が増します。歯や消化器系の問題により、以前よりもフードを食べたり噛んだりするのが困難になる可能性があります。そのため、柔らかくてムース状の食感のものが食べやすくなります。

嗅覚や味覚の低下により食欲に影響が出る場合があります。きちんと食べる可能性が高く、結果的に必要な栄養素を与え続けられるよう、シニア猫のフードはとくに食欲をそそるものでなければいけません。

Ageing cat sitting indoors next to a cream bowl.

高齢の猫に必要な栄養素は?

高齢期の猫の健康を維持するには、フードに特定の栄養素が含まれている必要があります。例えば、グルコサミン、コンドロイチン、EPA・DHAなどの遊離脂肪酸、および緑イ貝エキスなどは、老化の始まっている猫の関節の健康維持に役立ちます。猫の運動性改善を目的とした獣医学の食事療法では、1か月の食事療法後に改善が見られ、痛みが軽減されました。

消化器疾患に対しては、高品質な栄養素を含む特別に調製されたフードにより、消化器の健康を維持できます。例えば、消化性の高いタンパク質は、中高齢期の猫の消化管の健康維持に配慮しています。ビート パルプはプレバイオティックとして、オメガ3脂肪酸やEPA・DHAは胃腸の健康を維持するのに役立ちます。

高齢の猫の場合、慢性腎臓病や尿の問題を患う可能性があります。病気にかかりやすい中高齢期の猫の食事でのリン制限は、症状の発現を遅らせるのに役立つ場合があります。リンは腎臓病を患っている猫の血中で最初に有毒なレベルまで蓄積する要素の一つです。水分をより多く含んだウェット フードや、猫の水分摂取量を増やすのに役立つものも効果があります。これらによって、猫が排出する尿の量が増え、ミネラルの「石」が形成される危険性が低くなるためです。

高齢期の猫の食事には4つの重要なポイントがあります。消化しやすいこと、完全でバランスが取れていること、ウェルビーイングを維持できること、老化に関するプロセスを遅らせることの4つです。かかりつけの獣医師に相談し、高齢期の猫に必要なこれらの4つの要件すべてを満たすための最適なフードについて、アドバイスをもらうようにしてください。
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